群響「コバケンの英雄」
- tokyosalamander
- 18 時間前
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2025年4月4日(金)19時~、高崎芸術劇場を会場として群馬交響楽団創立80周年記念「ベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)・第1回《コバケン85✖群響80》」が開催されました。

いよいよ、群響創立80周年シーズンが開幕しました。定期演奏会では、アルプス交響曲(4月)、ショスタコーヴィチ「交響曲第8番」(5月)、マーラー「交響曲第8番」(11月)、シューベルト「交響曲第8番」(1月)など、大曲や80周年をフィーチャーした交響曲第8番シリーズなど、気合の入ったプログラムが目白押しです。
それに加えて、ベートーヴェン交響曲全曲演奏会(全5回)が企画されました。最後に演奏される第9番「合唱付」は、今季最後の定期演奏会(3月)として締めくくるとともに、次の節目である90周年に向けたスタートでもあります。
今回の演奏会は、記念すべきシーズンの開幕にあたり、群響桂冠指揮者である小林研一郎さんが登場しました。

指揮者の小林さんは、今年85歳。《コバケン85✖群響80》というタイトルには、深い意味が込められていました。
小林さんは、万雷の拍手で迎えらながら登場すると、指揮棒の代わりにマイクを握りました。シーズン開幕のあいさつだけでなく、これから演奏される交響曲第1番と第3番の楽曲解説が始まりました。
1番と3番の間には、大きな変化・成長が見て取れることを、モーツアルトやハイドンとベートヴェンとの関係性やエピソードを交えて解説されました。最後に、両曲の冒頭部分を演奏し比較することで、響きや厚み、ベートーヴェンが込めた思いの違いをイメージすることができました。その間、約20分、今までにないコンサートのスタイルに、群響と小林さんの意欲を感じました。
その後の演奏では、第1番から第3番へと交響曲が進化を遂げた様子を明確に知ることができました。第1番では、モーツアルトやハイドンといった大先輩から学び、そこから新しい自分を打ち出そうと、これまでの枠の中で奮闘していました。しかし第3番では、ベートーヴェンの覇気の塊りをこれでもかとぶつけてきます。例えば、第1楽章では同じ音が連続して6回も念を押すように繰り返されます。これが自分の求めている交響曲の世界であることを高らかに宣言しているようにも聞こえました。そこには、モーツアルトやハイドンの影は、微塵も感じられません。この「英雄」はまさにベートーヴェン自身のことだと思う、という小林さんの言葉に納得しました。
「炎のコバケン」と呼ばれる小林さんが指揮する「英雄」は、ベートーヴェンが感じていたであろう思いが最大限に伝わるよう、音量のメリハリやテンポを自在に動かしていました。また、曲の山場では、まだまだこんなもんじゃないと、何度も首を振り、腕を宙に突きあげることで、オーケストラを奮起させ、気合の入った音を出していました。時には、指揮棒を動かすことを止め、オーケストラに委ねる場面があったことも印象的でした。

最期の音が消えると、会場は大きな拍手とブラヴォの声に包まれました。カーテンコールでは、群響の奏者たちの頑張りを称えていました。群響の演奏は本当に素晴らしかったです。

最後にスピーチがあり、アンコールとして「ダニーボーイ」が演奏されました。小林さんによると、「ダニーボーイ」は群響と最も多く演奏したアンコール曲だそうです。


最後は、手を振ってステージを後にされました。本当にこれが85歳かと思うように、お元気でした。

小林さんが去った後、群響の皆さんも力強く手を振っていました。これは、なかなか目にすることができない風景です。

この演奏会に立ち会えて、本当に良かったです。
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