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​身近な風景

桜のある風景㉞ 武蔵野編

  • 執筆者の写真: tokyosalamander
    tokyosalamander
  • 4月13日
  • 読了時間: 2分

更新日:7 日前

2025年4月13日(日)、東京都の武蔵野市の林さんから、ご実家の庭のヤマザクラの写真(4月4日撮影)を送っていただきました。

ヤマザクラと聞いて、ピンとこない人も多いかもしれませんが、江戸時代にソメイヨシノが登場する以前は、お花見の対象とされてきたのは、このヤマザクラなのです。また、和歌にも数多く詠まれており、桜の名所「吉野」に生えていた桜のほとんどは、このヤマザクラであったとされています。


辻井達一著「日本の樹木」(中公新書)によれば、ソメイヨシノは、最初は吉野桜という名前だったそうですが、吉野の桜はヤマザクラであることから、区別するためにソメイヨシノ(染井吉野)の名が生じたそうです。


また、ソメイヨシノは最初は花だけが開花し、後から若葉が開いてきますが、ヤマザクラは白い花と赤みの強い若葉が同時に開く、という特徴があります。「武蔵野市の林さん」の写真からも、それがわかります。昔のお花見は、こうした桜を見ていたので、現代のお花見とはかなり風情が違っていたのではないでしょうか。


このヤマザクラは、文字通り山の中などで自生している野生種です。↓こんな風に、この時期、山の中で白い花を咲かせています。(2025年4月5日撮影、佐野)


実際に山を登って近くまで行くと、このような姿を見ることができます。

赤い若葉と白い花のコントラストには、わびさびの趣さえ感じられます。(2024年4月6日撮影、葛生)


ヤマザクラは古くから人々に愛好されていたため、今でも植栽されて庭木や街路樹に用いられているそうです。


武蔵野市の林さんによると、ご実家の庭に生えているヤマザクラについては、「大正時代末に祖父の代に移り住んできたので、そのころはすでにあったのではないかと思います。」とのことですが、そこに自生していたのか、あるいは庭木として植栽されたのかは、今となっては不明です。いずれにせよ、それだけ愛されていた花木であったということは間違いないと思います。


現代は、お花見の対象とはなっていませんが、ヤマザクラは、日本人にとって、より身近な「桜の原風景」だったのかもしれません。


「武蔵野市の林さん」大切なご実家のヤマザクラの写真、ありがとうございました。

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