桜のある風景⑦ みかも万葉庭園
- tokyosalamander
- 3月26日
- 読了時間: 3分
更新日:4月20日
2025年3月26日(水)、佐野市にある「みかも万葉庭園」を訪れました。昨日(25日)、えりだびんちさんが送ってくれた万葉公園の寒桜の写真を見て、これは自分の目でしっかり見ないといけないと思いました。

「この庭園は、万葉集で詠まれているウメやハギをはじめ、古くから私たちの生活に馴染みのある、四季おりおり楽しめる宿根草を多く植えてあります。」(以下の看板より)

サクラについては、正直、あまり期待はしていませんでしたが、実際に見てみると、野生種や見かける機会が多い栽培種など、20種近くが植えられていることがわかりました。その充実ぶりに驚きました。すべてのサクラの木に、種名のプレートが付いているので、わかりやすいです。
また、超有名な染井吉野(ソメイヨシノ)や最近流行の河津桜(カワズザクラ)があえて植栽されていないなど、この万葉庭園を設計した人の思い入れや心意気が伝わってきました。
今まさに満開なのが寒桜(カンザクラ)です。カンザクラは、野生種であるヤマザクラとカンヒザクラの交雑から生じたと考えられる栽培品種で、各地で栽培されています。早咲きのサクラの中でも特に早く開花し、ソメイヨシノが咲くころには散ってしまいます。



散った花びらが水面に浮かんでいます。今、寒桜がこの庭園の雰囲気を支配している、と言えるほどの存在感を示しています。

正面に見える満開の桜も寒桜です。
次は、栽培品種 修善寺寒桜(シュゼンジカンザクラ)です。
原木は静岡県伊豆半島の伊豆市・修禅寺境内にあり、野生種であるカンヒザクラとオオシマザクラの雑種と推定されています。


修善寺寒桜(シュゼンジカンザクラ)の花は、河津桜(カワヅザクラ)とよく似ていて混同される場合が多いそうです。
次は、野生種である寒緋桜(カンヒザクラ)です。
台湾、中国南部~東南アジア原産の野生種で、国内でも本州以南で栽培されています。花は赤みが強く(緋色)下向きに咲くので、一般的なサクラの印象とは異なる点が特徴です。


ここまで読んでこられた方の中には、気づいた人もいるかもしれませんが、寒桜、修善寺寒桜といった早咲き品種の交配親としても有名です。つまり、このカンヒザクラから、早咲きの遺伝子を受け継いでいるのです。
次も、野生種である江戸彼岸(エドヒガン)です。かつては、春の彼岸ごろに花を咲かせることから、ヒガンザクラ(彼岸桜)と呼ばれたこともありました。有名な古木のサクラの大半はエドヒガンだそうです。


エドヒガンは、桜の代名詞となるほどメジャーになった交配種染井吉野(ソメイヨシノ)の一方の親であることを忘れてはならないでしょう。
万葉庭園の早咲き桜の最後は、子福桜(コブクザクラ)です。縁起の良い名前が特徴です。


比較的最近になって広く流通するようになった栽培品種です。白色の八重咲で、春と秋に開花する二季咲きです。白色のサクラには独特な存在感がありました。
以上の5種が、万葉庭園の早咲きのサクラです。
これから咲き始めるサクラも、10種以上待ち構えています。
サクラも多様性の時代です。ソメイヨシノ以外のサクラの名所として、「みかも万葉庭園」はもっと知られてもいいのではないかと思いました。
(注)サクラに関する説明では、大原隆明著「サクラ ハンドブック」(文一総合出版)を参考にしました。
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