2024年7月7日(日)13:30~15:00 栃木県立博物館で、林光武さんによる講演会が開催されました。タイトルは「両生類ってどんな生き物? ②イモリって‥‥」でした。
今回の講演会は、栃木県立博物館友の会と栃木両生爬虫類の会の共催で行われました。3回シリーズの2回目です。
今回のテーマであるイモリは、林さんが大学生の頃からの研究テーマでもあります。イモリに関する博識とイモリ愛に溢れた講話を楽しみにしている人たちが大勢集まりました。林さんはイモリのTシャツで登場しました。
今回のお話は、「イモリとヤモリはどう違うの?」という身近な疑問からお話が始まりました。これは両生類と爬虫類という違いですので、皆納得です。
次の疑問は、かなりの難問でした。
「イモリとサンショウウオはどう違うの?」
日本だけ見ると、イモリ科はアカハライモリ、シリケンイモリ、アマミイボイモリ、オキナワイボイモリの4種しかいません。(県内は、アカハライモリ一択なので簡単。)しかし、世界にはイモリ科は144種もいて外見はいろいろ。林さんの体験や標本をもとに、少しずつ、確実に、イモリワールドに引き込まれていきました。
「腹が赤いのがイモリ」これが最もわかりやすい説明ではありますが、世界のイモリを見ると、それでは説明がつかない種もいるようです。イモリ科の特徴は骨(主に頭骨)にあるそうです。これは全く知りませんでした。奥が深いですねえ。
結論としては、イモリ科(144種)は有尾目(サンショウウオ目 823種)の中の1グループなので、「イモリとサンショウウオはどう違うの?」という質問は、「ヒキガエルとカエルはどう違うの?」という質問と同レベルだそうです。わかりやすい説明でした
続いて、「イモリの恋~求愛から産卵まで~」についてのお話がありました。
アカハライモリのオスの求愛について、動画などを使って具体的な行動を紹介してくれました。
アカハライモリの性フェロモンは、アイモリン(メス)、ソデフリン(オス)と名付けられています。それぞれ、万葉集の和歌にちなんでいるそうです。アカハライモリは日本固有種ですので、日本人ならではのオリジナリティが発揮されているのですね。嬉しく思いました。
3つ目のテーマは「イモリの身の守り方」のお話でした。
アカハライモリの皮膚や内臓には、フグ毒のテトロドトキシンがあるそうです。
また、捕まえられると、赤い腹を見せる防御行動をとるそうです。イモリの行動にはまだまだ多くの謎があるとのことでした。
最後の話題は「イモリ ア・ラ・カルト」として、時間が許す範囲でイモリの小ネタを‥という趣向でした。その中で、印象に残ったのは、学生時代、全国にイモリの採集に行ったことや、当時は、今よりもイモリはたくさんいたことを示すエピソードの数々でした。
写真の水辺にイモリがたくさん生息していて、林さんが近づくと、順番に水に飛び込む様子をゼスチャーを交えてお話されました。
栃木県はイモリの生息数は非常に少ないですが、かつてはもっと普通に生息していたはずです。スライドに映っているたくさんのイモリは、県内のある場所「何の変哲もない小川と池」にいたそうです。これだけの数が見つかることは、めったにありませんが、県内でもかつてはこんな風に、もっと普通に生息していたのかもしれません。
今回も大勢の方が聴きに来てくれていました。林さんの「イモリ愛」は尽きることなく、子どもから大人まで、「イモリワールド」にどっぷりとつかっていました。会場からの質問も子どもから大人まで、たくさん手が上がりました。
3回シリーズの2回目、お疲れさまでした。林さんしかできないお話をお聞きすることができて楽しかったです。
3回目(最終回)は以下の日程で行われます。
サンショウウオって
‥8月10日(土)13:30~
申込先:栃木県立博物館友の会
028-634-1319
興味を持たれた方は、ぜひご参加ください。
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