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​身近な風景

  • 執筆者の写真tokyosalamander

『Beautiful Words』No.15

2024年8月2日(金)午前中、足利大学 共通教育センター 高橋大輔教授が、茨城県立勝田工業高校で、「体験しよう!氷点下の世界」と題する講座を実施しました。今回は、高橋先生が講座の中で高校生に伝えた「Beautiful Words 」を紹介します。

今回の講座は、夏休み中の出前授業の一つとして、高校1,2年生の希望者11名が受講しました。


高橋先生は、「超低温物理学」が専門分野で、絶対零度に近い温度で、物質の特性がどのように変化するかを実験的に研究しています。


「はじめに」自然環境での最低温度を知ろう! という話題から授業が始まりました。

「地球で最も低い温度を記録したのはどこでしょう?」というクイズです。

正解は「南極」です。2004年に衛星観測でー98.6℃を観測しました。

さらに、日本の最低温度を記録した日に、何が起こっていたか、などの話題に、次第に生徒たちは引き込まれていきました。


科学と人間生活が密接に関わり合っていることを暗示させながら、今日の本題である「温度による物質の状態の変化」へと、進んでいきました。


まず、温度を下げるとどうなる? について、実験によって確かめていきます。

ここで、伝家の宝刀、液体窒素の登場です。

一気にテンション爆上がりです。


冷却すると空気の体積は”縮む”ことを実演しています。

さらに金属だったらどうなのか? 金属の「熱収縮」や温度変化で「電気抵抗」が変化することを実験で確かめていきます。

「なるほど、確かにそうだ!」と実感させる実験を繰り返すことで、生徒の興味関心は、高橋先生の手元に釘付けになっていきます。


そして、今回のクライマックスでもある「電磁誘導」へと突入しました。

アクリル、真鍮、銅のパイプの中をネオジム磁石を落下させ、下から出てくる順番を確かめます。

ここでは、電磁誘導という現象が起こっていることを確かめ、「なぜ銅が一番遅いのか??」という詰めの一手へと生徒たちを導きました。

反発する磁石の力は、電気を通しやすい金属(電気抵抗が小さい金属)の方が大きいことから、電気抵抗が一番小さい銅が一番遅かったことに、生徒たちは、うなずきながら納得していました。


そして、最後の問題です。

電気抵抗が「ゼロ」の場合、磁石はどれだけの時間をかけて落下するだろう???


ここで、満を持して、電気抵抗ゼロの「超伝導体」が登場します。

マイスナー効果が、これほどの感動をもって生徒に示されたことは、初めてのことでした。

そして、この超電導技術の応用が、リニアモーターカーであり、常温超電導に向けた「未来への挑戦」につながっていることを生徒たちに伝え、講義の終着点に到達しました。

このように高橋先生の授業は、単に現象を示すのではなく、その現象がなぜ生じるのかを、実験で確かめながら実感させています。これは、物事の本質を理解している人が、試行錯誤を繰り返して突き詰めた結果、到達した境地であると思いました。このような授業ができる方が、足利大学の同僚としていることを誇りに感じました。

本編終了後、「今を超えて:皆さんへのメッセージ」として、普段考えていることを話してくれました。これが今回の「Beautiful Words」として紹介します。


★歩みを止めない。ただただ、目の前の疑問に向き合う


こうして、学問が進んでいくことを感じさせてくれました。




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