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​身近な風景

執筆者の写真tokyosalamander

『Beautiful Words』No.13

更新日:3月30日

2024年1月31日(水)、栃木県庁の研修館で、栃木県の主催による「とちぎ地域・森づくりフォーラム」が開催されました。今回の『Beautiful Words』は、フォーラムに講師として登壇した合同会社「モリ田守」代表社員 赤堀(谷)雅人さんが発した言葉から紹介します。

「とちぎ地域・森づくりフォーラム」より


赤堀(谷)さんの発表の最初のスライドは、「令和6年能登半島地震」の写真でした。赤堀(谷)さんの全国の仲間による支援は、その第一弾が1月18日に行われたそうです。


赤堀(谷)さんは2011年の東日本大震災以来、2016年の熊本震災、2018年の西日本水害支援など、一貫して支援活動を続けています。軽トラックに資材を積んで、走り回ることもありました。


赤堀(谷)さんは、佐野高校の卒業生です。私の初任校である佐野高校で、初めての担任(1年4組)をしていた1998年5月、「生物」の教育実習生として、私のもとにやってきました。それ以来の付き合いが続いています。赤堀(谷)さんとは、ともに、今は亡き、焼き鳥屋「鈴よし」の常連であったことを始め、たくさんの思い出があります。


谷さんは、岩手大学農学部林学科を卒業後、川崎地質(株)開発部で5年間、モンゴル・エジプト・インドネシア等で地質調査に従事していましたが、宇都宮大学農学部森林科学科の大久保達彦先生のもとで、森林生態学(マレーシア ボルネオ島 サラワク州)の研究に取り組みました(博士課程、単位取得後退学)。その後、環境教育活動に携わりながら、県立高校の講師を務め、現在では宇都宮大学の講師も続けています。


2012年に葛生町に代々続く赤堀家に婿入りしたため、谷さんは赤堀さんとなりました。赤堀(谷)さんとなってからは、人と森とのつながりを結ぶ場、豊かな自然環境を学ぶ場、生態系を守り育てる場として、赤堀家の里山を「モリ田守センター」と名付け、里山の保全活動や生態系の調査・保全を行ってきました。この約10年間で、延べ600名を超える方々が「モリ田守センター」で、里山や農業を体験しています。


そんな赤堀(谷)さんに、昨年10月6日、大きな転機が訪れました。『合同会社モリ田守』の「モリ田守センター」が環境省から「自然共生サイト」に認定されました。

自然共生サイト」や「30by30」という言葉は、今、大きく注目されています。2021年にイギリスで開催されたG7サミットで、「2030年までに、国土(海と陸)の30%以上を 自然環境エリアとして保全する」(30 by 30)という約束が取り交わされました。しかし、国立公園や国定公園だけでは30%には程遠いことから、民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域を「自然共生サイト」に認定することで、30%以上の保全エリアを達成しようとしています。


今回、最初に認定を受けたサイトは全国で122件、栃木県内では3件でした。その大半は大企業や地方自治体が所有する土地で、『合同会社モリ田守』のような個人のサイトはごくわずかでした。


赤堀(谷)さんにとって、環境省の「自然共生サイト」に認定されたことはどのような意味を持っていたのでしょうか。そのような会場からの質問に対して、赤堀(谷)さんが答えた言葉を『Beautiful Words』として紹介します。


「外部の人たちと関わる仕組みを作らないと持続可能な活動にならない」


これまで、第三者として「この里山は後世に残すべきだ」と思うことはあっても、赤堀家の人間になり、自分が里山や水田を維持する立場になると、考えはがらっと変わったそうです。自然度の高い里山や農地ほど、不便なところにあり、イノシシやシカなどの被害も大きいため、地元の人たちにとっては、価値のない、真っ先に見捨てられる対象になっていました。


そのような中で、里山環境を維持し、多くの人たちが農業を体験できる場を提供するためには、その場所に価値を認める外部の人たちを引き込んでくることがとても重要でした。

この10年間の活動を通して、多くの外部の人々が、この場所の価値を認めてきた結果として、「自然共生サイト認定」というシンボリックなお墨付きをもらったことは、活動の大きな励みになる、と答えてくれました。(ちなみに、認定されるだけで、国からの助成などは一切ありません。)


「外部の人たちと関わる仕組みを作らないと持続可能な活動にならない」この言葉は、今回の「自然共生サイト認定」にとどまらず、多様性や共生を重視する今の社会では、とても重要なのではないかと思いました。


そして、このことは、赤堀(谷)さんが当たり前のように続けている復興支援が、多くの外部の人たちによって支えられていることと、深くつながっていることを、今回のフォーラムで強く感じました。







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